終身雇用制度が崩れつつある現代。
職場を選ぶ条件として「働きやすいオフィス」を挙げる方も多いのではないでしょうか。確かに、仕事とストレスは切り離せないもの。
上司や同僚との人間関係、肉体的・精神的な疲労、予想もしないトラブルなどなど・・・。ストレスフルなオフィス環境は、社員の体調不良による休職や離職、生産性の低下などさまざまな問題を引き起こすおそれがあります。職場環境の悪化を防ぐためにも、働く社員のメンタルをケアする、働きやすいオフィスの仕組みを考える必要があります。

オフィス環境から始めるメンタルヘルスケア

さまざまなストレス要因を抱える職場環境

仕事でのストレスとしては、慢性的な長時間労働、パワハラ・セクハラ、過剰な成果主義など、さまざまなストレス要因が挙げられます。
それに加えて、デスクの狭さやプライバシーが守られていない、汚いままのデスク周り、周囲のうるさい騒音、調整の効かない空調など、環境面の不満が加わると慢性的にフラストレーションが発生してしまいます。
独立行政法人労働政策研究の研修機構が発表した「職場におけるメンタルヘルス対策に関する調査」では、全事業所のうち56.7%で何らかの心的健康問題を抱えている労働者が存在することが明らかになっています。また、一度うつ病などのメンタルヘルス不調を抱えてしまうと、職場復帰が難しい傾向にあるようです。
精神的な負担はモチベーションや生産性の低下だけでなく、体調不良による休職や離職の発生など、会社の業績に関わる深刻な問題だと言えるでしょう。

メンタルの不調は組織で未然に防ごう

厚生労働省が発表した「労働者の心の健康維持増進のための指針」の中では、「職場レイアウト、作業方法、コミュニケーション、職場組織の改善などを通じた職場環境などの改善は、労働者の心の健康の保持増進に効果的である」と記載されています。
ストレス自体は精神的な問題ですが、だからといって個人レベルの対応には限度があります。そのため、会社側が積極的に職場改善のための予防策を講じる必要があると言えるでしょう。既に発生したストレスは、長時間掛けて形成されてしまったものであるため、劇的に解決する手段を取ることは困難です。
長期的なプランを立て、徐々にストレスを軽減する取り組みを地道に継続する必要があります。

ストレスケアの取り組みの例

■ストレスチェックの導入

2014年に改正された労働安全衛生法により、労働者が50名を超える職場ではストレスチェックの実施が義務化されています。従業員数が50名に満たない場合でも、一次予防策としてストレスチェックを行なうことで、メンタル不調者の発生を防ぎ、職場環境改善に活かすことができます。

■管理職レベルのマネジメント教育

上司である人間がメンタルストレスへの理解がないために、余計精神的な圧力をかけてしまうことも珍しくありません。管理者レベルの人間に対しては、定期的な教育研修により、部下のメンタルケアに対する正しい知識と対策方法を身に付けるようにしましょう。

■カウンセラーの配置

実際にメンタル面で不調を抱えた場合、本人が評価の低下を恐れてなかなか相談できない、というケースが見受けられます。そのため、人事権などに関係ない第三者をカウンセラーに任命することで、相談の機会を設けましょう。

ストレス軽減に配慮したオフィス設計

■ゆとりのあるオフィスレイアウト

デスクやチェアの配置の見直しは、社員同士のコミュニケーション向上のために必要です。デスクの間が狭すぎて、往来にも苦労していませんか?デスク周辺は一定のスペースを確保し、収納スペースも設置します。物理的にゆったりとした空間での仕事は、心の余裕にも繋がるでしょう。

■パーティションで集中力を保つ工夫

SEやクリエイターなど一定の集中力が必要な職種の場合、周囲の視界や騒音のせいで集中力が削がれ、業務効率が低下する場合があります。また、人によっては上司の視線が気になって集中できない、落ち着かないという方もいます。完全な間仕切りを設けるのが難しい場合は簡易なパーティションで視界を遮るものを設置すれば、プライバシーも確保できます。

■リラックススペースの設置

ずっと同じ姿勢でPCへ向かっていては、肉体的にも精神的にも負担が掛かります。定期的に体を動かす、リラックスできる空間を設けることで、ストレスの軽減できます。

まとめ

いかがだったでしょうか。
働きやすい職場環境は、そこで働く社員のメンタル面での健康維持に必要不可欠です。メンタルケアを意識したオフィスの設計は、メンバー同士の連携、モチベーションや生産性の向上、離職防止による採用・教育コストの削減など、結果的に会社全体の業績アップに繋がるといっても過言ではありません。ぜひ、この機会にオフィスの環境やストレスケアについて見直してみませんか。そして、問題がある箇所はレイアウトの変更や新しい移設の導入など、改善のための対策を行ないましょう。ひとりひとりのメンバーが働きやすい環境を作ることは、掛けた費用以上に大きなメリットを期待できるものなのです。