社員の働き方改革を推進している会社が多いなか、今注目を浴びている取り組みがあります。それが「ABW」です。今回の記事では、ABWがどのような取り組みなのかについてご紹介していきます。

オフィス ABW

ABWとは?

ABWとは、“アクティビティ・ベースド・ワーキング”のことで、「時間」と「場所」を自由に選択できる働き方を指します。時間と場所を自由に選べる働き方、という点では今までフリーアドレスが主流でした。しかし、フリーアドレスはあくまで固定席を設けずに働く、という社内に限定された取り組みです。

一方、ABWの場合は、社内・社外どちらにおいても時間と場所を自由に選んで働くことができます。そのため、わざわざオフィスに行かないでも自宅やカフェなどを利用して仕事に取り組んでも良くなります。

これを聞くと、リモートワークと似ていると思うかもしれませんが、ABWでは「今ある仕事をいつ、どこでやれば効率よく終わらせられるか」に重点が置かれます。リモートワークのように、どのような仕事でも終始、社外にいるとは限らず、場合によっては社内で仕事を行なうこともあるのです。

ABWをオフィスに導入するメリット

では、ABWにはどのようなメリットがあるのか説明していきます。

・仕事の効率が良くなる

ABWでは、仕事内容に応じて自由に働く場所を選ぶことができます。たとえば、1人で集中したいときは社外の静かな場所で、コミュニケーションが必要なときは社内のミーティングスペースで、というように働けます。それによって、仕事の効率が良くなる効果が期待されます。

・コストを削減できる

たとえば、数百人単位の社員がオフィスで仕事をしていると、それなりの広さが必要になります。しかし、ABWによって社外で仕事を行なう社員が増えると、社内で業務に取り組む人が減るので、オフィスの面積を縮小することができます。また、場合によっては拠点を減らすことも可能です。

立地によりますが、基本的にオフィスは広ければ広いほど費用が高くなります。これは、拠点にも言えることです。ABWにすると、こうしたコストを抑えることができます。

・優秀な人材が集まりやすくなる

社内外問わず、自由に働く場所を選べるABWを導入すると、子育てや介護の関係で仕事を辞めた優秀な人材も集まりやすくなります。また、自由な働き方は、子育てや介護が必要になった社員の離職率を下げることにも貢献してくれます。

ABWをオフィスに導入する際の注意点

このようにさまざまなメリットをもたらしてくれるABWですが、仕事の特性によっては向いていない場合もあります。

たとえば、研究職や開発職においてABWは、うまく機能しないと言われています。研究所や開発職の場合、固定のデスクがあったほうが効率的に業務を進められることが多いからです。ABWは性質上、営業職など動きが多かったり、クリエイティビティを求められたりする職業に向いていると考えられています。

また、ICTを導入しているなど、もともと先進的なオフィス環境を構築している会社のほうが、従来の体制を維持している会社より導入しやすい傾向にあります。

さらにABWを導入するためには、集中スペースやコミュニケーションスペース、社員同士が一緒に働けるワークテーブルなどを整える必要があります。もし、今まで無機質なオフィス環境であった場合、導入時にこうしたコストがかかります。

ABWにはメリットだけでなく、このような注意点があることも覚えておきましょう。

まとめ

今回の記事では、ABWとはどのような取り組みなのか、ということをご紹介してきました。ABWは、フリーアドレスやリモートワークなどとは違う取り組みで、そのメリットは会社と社員に大きな効果をもたらしてくれるところにあります。これから社員の働き方改革を推し進めようとしている経営者の方は、ぜひ先進的な働き方であるABWの導入を検討してみてはいかがでしょうか。