会社経営を行なっている方や部署の責任者として働いている方のなかには、人材の流出に頭を悩ませている方もいるでしょう。組織のさらなる成長を実現するためには、社員一人ひとりに長く勤めてもらうことも大切です。今回は社員の定着率を向上させる方法をご紹介します。

離職率低下

定着率向上のメリット

まずは、定着率を向上させることでどのようなメリットを得られるのか、簡単にチェックしておきましょう。

✓生産性の向上

会社における業務は時間をかければかけるほど自然と慣れていきます。そのため、社員一人ひとりが長く勤めてくれれば、業務を正確かつ効率的に進められるようになります。一方、定着率が低い職場は人材の回転率が早いため、業務に不慣れな社員ばかりが増え、結果的にミスが頻発したり、全体的に業務の処理スピードが遅くなったりします。

✓採用や教育コストの削減

当たり前のことですが、媒体やエージェントを利用して採用をかけるとなるとコストがかかります。また、入社した社員たちの教育にも多くのコストが必要になります。定着率が高ければ、こうした採用や教育の必要性が低くなり、今までかかっていたコストを削減することができます。

✓顧客満足度の上昇

1人の社員がずっと担当を続けてくれるだけで顧客は安心感を持てます。また、お互いに信頼関係を構築できているため、連絡も重要なときだけなど必要最低限で済み、社員と顧客双方が時間を有効活用できます。それが、顧客満足度の上昇につながります。

定着率を向上させることには、主に以上のようなメリットがあります。どのメリットも組織を成長させるうえで欠かせないポイントと言えます。

定着率を向上するための方法

それでは、実際に社員の定着率を向上させるための方法を見ていきましょう。

✓ミスマッチの解消

定着率を向上させるうえでまず取り組みたいのが「ミスマッチの解消」です。ある調査によると、会社側は社員が離職する理由として「給与」「賞与」といった待遇面を考えるのに対して、本当のところ社員側は「業務内容」「人間関係」といったことを離職理由として多く挙げていることがわかったそうです。

離職する側としては円滑に会社を辞めるために、建前の理由を述べることが多い傾向にあります。会社側としては本当の理由がわからなければ、効果的な対応策を立てにくくなります。ですが、社員がどこに不満を抱えているかは、普段からコミュニケーションを取っておくことでわかりやすくなります。

上記のようなミスマッチが生じないように、定期的に面談を実施するなどし、社員と会社の相互理解を促しましょう。

✓福利厚生の充実、労働環境の改善

福利厚生の充実は離職率を抑えるうえで効果的な施策となります。資格取得支援、外部セミナー参加費用支給、書籍購入代支給、昼食代支給、住宅手当、子ども手当などなど、充実の福利厚生は定着率向上に貢献してくれます。

また、職種によってはリモートワークを導入するなど、働き方改革を実施してみても良いでしょう。このような福利厚生の充実、労働環境の改善によって、定着率が向上したという事例は数多くあります。

✓採用の段階で社風との相性を考える

離職者のなかには、入社した段階で職場の雰囲気や既存人材の性格・個性を肌で感じて「失敗した…」と思ってしまい退職する人も少なくありません。これが原因の場合、まずやることとしては採用の段階で社内見学を実施したり、社内の人たちとコミュニケーションを取らせたりすることです。そうすれば、少なくとも入社後にギャップを感じて離職する人は減らせるでしょう。

また、会社側としてはその人材が自社の風土や雰囲気と合うかも見極めなければなりません。仮に自社と雰囲気が合わない人材を採用すると、早期に離職することが予想されます。募集をかける段階で理想の人物像を洗い出し、採用条件を明確にすれば応募者の見極めがしやすくなります。

まとめ

今回は社員の定着率を向上させるための方法をご紹介してきました。離職率の高い職場は、裏返すと社内満足度が低い状態です。社内満足度を高め、さらなる成長を実現しやすくするためにも社内制度や労働環境の改善に取り組み、社員に長く勤めたいと思ってもらえる組織をつくっていきましょう。