オフィス移転の際には、通常の引っ越しでは必要ないような、思いもよらない費用や手続きが発生します。
単純に家具などの設備移動費用と新オフィスの保証金・敷金、前払い賃料、引っ越し先の売買契約だけと考えていると、予算もスケジュールも大きくオーバーしてしまい、焦ることになります。計画的なオフィス移転を計画するためにも、どんな手続きや費用がかかるのか、あらかじめリサーチしてリストアップしておきましょう。

オフィス移転の際に発生する費用と手続き

不動産会社は早めに回って関係づくりを

オフィスの移転を考えた際に、最初に決めねばならないのが、移転先の物件です。通常の家探しと同じく不動産会社を使いますが、オフィス物件の場合は、人気のあるビルは一般公開される前に借主が決定しているケースもあります。良い物件はほとんど事前に抑えられていて、なかなか良い場所を見つけられないということが当たり前。これを防ぐには、早めに不動産会社に移転したい旨を伝えておくことが重要。まずは希望するビルの物件を扱う不動産会社を見つけて相談し、一種の「関係作り」をしておくと希望に合った物件が出た時に優先的に声をかけてくれるようになります。少なくとも移転をする半年くらい前には不動産屋をいくつか当たるようにしておきましょう。なお、不動産会社に仲介手数料が通常、賃料の約1ヶ月分程度かかることも忘れずに。

設計事務所・デザイン会社は理想の企業を参考に

不動産会社を通して物件を選定し、借りるオフィススペースを決めたら、次は内装の手配をしなければなりません。
オフィスレイアウトには、モードなデザインが得意な会社、機能性を重視のシンプルなレイアウトが得意な会社など、さまざまな設計事務所・デザイン会社があります。ホームページなどに掲載している施工事例などを参考に選んでも良いですし、自分が理想とする企業のオフィスをどこがデザインしたのかを調べて同じ所にお願いしてみるのもひとつの手です。選ぶ際に大事なのが、打ち合わせや見積もりの際にきちんと「こんな理由でこうしようと思うのですが、いかがでしょうか?」と、”なぜそのプランを導入しようと思ったか”をこちらにもわかりやすいように説明をして、提案してくれること。サービスや企業の理念、業種の違いによる働き方の違いなどを加味したオフィスレイアウトを実現できることが大前提です。ろくにこちらの意見の聞かずに、説明や提案もなく勝手に進めるような業者は要注意です。

家具やOA機器の入れ替えも同時にしたほうがお得?

移転の際に、OA機器や家具を一新する企業も多くあります。「なにもお金がかかる移転の際に、さらにお金のかかる機器入れ替えなどしなくても・・・」と思う人もいるかもしれません。しかし、いつかする必要があるなら、移転の機会に同時にした方が絶対お得です。電話、カラーコピー機、パソコン、サーバー、ネットワーク機器、デスク、オフィスチェアなど、通常はそれぞれのカテゴリごとの専門業者にお願いする必要があるため、なかなか面倒です。しかし、オフィスのリフォームを専門的に請け負っている会社の中には、移転&リフォームの際に、オフィス家具入れ替えや見直しを同時に取り扱っているところもあります。割引価格が適用されるだけでなく、移転の際にあれこれと起きてしまう搬入や設置の問題も回避できるのです。

出るときにもお金がかかる?

案外見逃しがちなのが、現在のオフィスを解約する際に発生する「原状回復費用」。基本は事前に納めていた保証金・敷金から支払われ、差額が返還されますが、使用状況によってはほぼ返ってこないどころか、修繕のための追加費用を請求されることもあります。“修繕費をどこまでを負担するか”は、ビルや契約内容ごとに異なります。トラブルを防ぐためにも、入居時の契約書にきちんと目を通し、退去後の確認には必ず立ち合い、“どこをどう直すのか”細かな説明と明細をもらうようにしましょう。

まとめ

ほかにも、書類や家具、機器などの廃棄費用や、新しい名刺の発注、社内印刷物の発注、官公庁への各種届出など、様々な費用が発生します。オフィス移転を進める際には、発生する費用についても整理し、十分な予算と期間を確保しましょう。