社員が快適に仕事に打ち込める環境をつくる際、見落とされがちなのが「オフィスの明るさ」です。オフィスの明るさは社員の生産性に影響を与えるとも言われています。

はたして本当なのか。今回の記事では、オフィスの明るさが社員の生産性に影響を与えるのかどうかご紹介します。

オフィスの明るさ

オフィスの明るさの基準

今現在、だいたいの会社では机上照度を750lxで設定しています。これには、1994年に示された「新しい時代のオフィスで最低限満たすべき項目」が関係しています。その項目のなかにオフィスの明るさに関する内容があるのですが、そこでオフィスの机上照度の基準を「750lx」としているのです。

また、かつてオランダの物理学者が、人間が快適に労働できる照度は750lxと提唱したことも、今もなお750lxを基準に机上照度を設定している会社があることと関係しています。しかし、最近では750lxが必ずしも最適な照度とは限らないとも言われています。

実際、労働安全衛生法では、業務空間に必要な手元の照度を以下のように定めています。

  • 精密な作業:300lx以上
  • 普通の作業:150lx以上
  • 粗な作業:70lx以上

机上照度750lxが最適ではない理由

近年、スマートフィンやPCを業務で活用する会社が多くなりました。その影響で現代人は、必然的に仕事モードでいる時間が長くなっています。上述したオランダの物理学者が机上照度は750lxと提唱した頃とは労働環境が大きく変わっているのです。このことから、机上照度750lxが「快適な労働環境」につながるわけではないと考えられています。

机上照度750lxは満足度が高い?

その一方で、机上照度が750lxであることに対して、以下のような仮説も導き出されています。

①オフィスの照明基準である 750lx-5000K で最も満足度が高かったが、光環境の満足度の高い空間が必ずしも作業効率を向上させる空間ではない可能性が示された。満足度は、普段教室やオフィスで体感している環境を好む傾向が影響していると考えられる。

引用元:照明計画と知的生産性に関する研究

簡単にまとめると、「明るい空間のほうが人は高い満足度となる」ということになります。そのため、一概に机上照度750lxが快適な空間につながらないと言えないのが実情です。

オフィスの明るさは生産性に影響する?適切な明るさとかある?

では、オフィスの明るさは社員の生産性に影響を与えるのでしょうか。これを知るヒントとなるのが、さきほどの研究結果です。その内容によると、「人の満足度が高い明るさの空間は、作業効率を上げる空間ではない可能性がある」ということが示されています。

この結果を踏まえると、オフィスの明るさはあまり生産性に関係しないと言えます。しかし、だからと言って極端に暗い空間にすると、人は眠気を感じやすくなります。それが、社員の生産性に悪影響を及ぼす可能性があることは言うまでもありません。

そのため、オフィスの明るさは、生産性向上を目的に決めるのではなく、社員が快適に仕事に取り組めることを目的に設定することが望ましいと言えます。

また、オフィスで適切な明るさも、社員の意見を参考に決めるほうが良いでしょう。なぜなら、職種などによって、社員一人ひとりが好む照度が異なるからです。たとえば、クリエイティビティを発揮する職種の人は、一般的に「750lxより暗い環境」を好む傾向にあります。

より社員が快適に仕事に取り組める環境を整えたい経営者の方は、アンケートなどで社員が好む明るさを調査し、調整してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、オフィスの明るさは社員の生産性に影響を与えるのかお話ししてきました。ぜひこの記事でご紹介してきたことを参考にしながら、自分のオフィスにピッタリの明るさを決めてみてください。