働き方改革の影響により、多くの企業が勤務形態の多様化を推進するようになりました。リモートワークはその要となるものであり、うまく導入することで業務の効率化や経費の削減なども実現できます。ただし、安易に取り入れるのではなく、リスクに対する備えを万全にしなければなりません。この記事では、リモートワークのセキュリティについて、主な課題を4つ挙げて対策もセットで紹介していきます。

インターネット上の脅威!ウイルスやマルウェアなど

インターネット上には、ウイルスやマルウェアといった脅威がたくさん存在します。ビジネスメール詐欺やフィッシング詐欺を仕掛けてくる悪意を持った人物も少なくありません。社内で用いられている情報端末は、高度なセキュリティが施されたシステムで守られているのが一般的です。上記のような脅威を自動的に排除してくれるので、従業員は特に自衛を意識していないケースも多いでしょう。しかし、社外に情報端末を待ち出すリモートワークでは、脅威に対して社内ほどの保護を期待できなくなります。

このリスクへの基本的な対策は、セキュリティ対策ソフトとOSを常に最新の状態にしておくことです。少なくとも、企業から持ち帰る前にアップデートを済ませておく必要があります。個人所有の情報端末は仕事に使用させないほうが安全ですが、やむを得ず許可する場合は、企業用のセキュリティ対策ソフトをインストールさせましょう。

ネットワークの回線が脆弱!機密データの抜き取りなど

企業が使用しているネットワークの回線と比べて、個人が使っている回線は脆弱であるのが一般的です。リモートワークでは、自宅ではなくカフェや図書館といった公共のスペースで仕事をする従業員もいます。そのような場所で用いる無料のWi-Fiは、さらにセキュリティ面が弱いので注意しなければなりません。社外秘などの重要な機密データを送受信すると、第三者に通信途中で抜き取られてしまうリスクがあります。

そのような事態が生じないように、企業が用意した回線を利用できる体制を整えましょう。たとえば、セキュリティ対策が施された自社専用のスマートフォンを支給し、パソコンを使用する場合はテザリングで接続させるという方法があります。また、リモートワーク中の従業員も社内LANを利用するなら、VPNを導入して接続用ソフトを用意することも忘れてはいけません。

情報端末や記憶媒体の紛失!置き忘れや持ち去りなど

パソコンやUSBメモリなどを社外に持ちだすと、紛失のトラブルが起こる可能性もあります。たとえば、自宅外でリモートワークをした場合、その場所だけでなく、交通機関などに置き忘れるケースもあるのです。多くの人がいるところで、目を離した隙に持ち去られるような事件も起こっています。中に入っていた顧客データなどが流出すると、企業の評判が下がるだけでは済まず、賠償責任の問題にまで発展しかねません。

そのため、紛失した場合に備えてセキュリティ対策を行っておくことが重要です。パスワードを設定することはもちろんですが、さらにデータを暗号化しておけば、中身の抽出による悪用を防ぎやすくなります。USBメモリのような記憶媒体に関しては、制御用ツールを導入してデータの複製を禁止し、特定のパソコンでしか開けないように設定しておくと良いでしょう。

自宅での油断による漏えい!家族や友人との接触など

リモートワークを在宅で行っていると、自宅外で実施する場合よりも警戒の意識が低くなりがちです。家族や自宅を訪れた友人に、作業中の画面を見られたり業務の話をしたりするケースが見受けられます。そのような人たちに悪意がなくても、知られた情報が何らかの形で世に出てしまう可能性はゼロではありません。情報の内容によっては、企業は大きな損失を負うことになるでしょう。過去にも、身近な人物から情報が漏れる事件は、いくつも起こっているので注意が必要です。

そのような被害を回避するには、自宅で仕事をする際の心得を従業員に厳しく指導しなければなりません。仕事のスペースを設けて、自分以外が立ち入らないように徹底させることが基本になります。勤怠管理システムなども活用して、仕事とプライベートを明確に区別させることも大事です。また、正面以外から画面が見えなくなるフィルターや、机にパソコンを固定できるワイヤーロックなども支給しましょう。

リモートワークの定着を目指してセキュリティ対策!

なしくずし的にリモートワークを導入するのは良くありません。従業員に社外で働かせる以上、企業はそれに伴うリスクにしっかりと備える必要があります。セキュリティに関する課題をリストアップしたうえで、十分な対策を事前に講じておくことがポイントです。企業と従業員の両方が有益だと感じられる形で、安全性の高いリモートワークを定着させましょう。