ワークライフバランスの向上や感染症の予防など、テレワークには多くのメリットがあるため、積極的に導入しようとする企業が増えました。一方、魅力を感じて取り入れたくても、何を準備すれば良いのか分からないという企業も少なくありません。この記事では、テレワークを導入するために必要なものを詳しく説明していきます。

パソコンやWeb会議のシステム

従業員が行う作業や連絡の手段としてパソコンが必要になります。プライベート用のパソコンを使用させるという選択肢もありますが、その場合は企業のソフトをインストールしたり、業務のデータを移したりしなければなりません。ライセンスの面などで問題があるため、企業が用意したパソコンを貸与するのが望ましいです。基本的には職場で使用しているパソコンで構いませんが、貸す前にWeb会議のシステムを使えるように設定しておきましょう。職場にいなくてもミーティングや相談を手軽に行えることは、円滑なテレワークを実現するための重要なポイントになります。

もしパソコンにWebカメラやマイクが内蔵されていなければ、別に用意しなければなりません。乳児がいる自宅など、音を出しにくい場所で作業する従業員にはヘッドセットも貸与すると良いでしょう。

安定したインターネット環境

テレワークを導入するときは、インターネットを利用できる通信環境をしっかり整えることが大事です。外部からアクセスする従業員が多ければ、企業の通信回線に負担がかかりやすくなります。通信回線が貧弱だと、音声や映像が途切れるような事態が生じかねないので注意しましょう。また、企業側を見直すのと同時に、従業員側に問題がないか確認することも重要です。自宅などの作業場に通信回線がない従業員には、モバイルルーターを提供するなどの対策が必要になります。社用のスマートフォンを貸与しているなら、テザリングの機能を使用させることも一つの手です。

また、リモート接続の機能で職場のパソコンを利用する場合、事前にテストを実施することも忘れてはいけません。IPアドレスの固定やOSのアップデートなどを済ませて、安定した連携を可能にしておきましょう。

セキュリティ対策のソフトやハード

外部への情報漏えいは、テレワークにおいて非常に警戒しなければならない事柄です。その対策として、ソフトとハードの両面においてそれぞれ必要なものがあります。ソフト面に関しては、パソコンの状態を監視することで、ウイルスや不正な通信を防げるセキュリティソフトが不可欠です。社用以外のUSBメモリなどを接続した場合に、遮断や通知を行う機能があると安全性が高まります。また、万が一パソコンを盗難された場合に備えて、OSごと暗号化できるソフトも入れておいたほうが良いでしょう。

ハード面に関しては、パソコンの持ち去りを防ぐため、机などに固定するワイヤーとロックも貸与しなければなりません。仕事の情報は家族にも公開できないため、周囲からディスプレイの表示を見えなくするフィルムも必要です。

勤怠管理システムや新しい就業規則

テレワークに対応した勤怠管理システムや就業規則も用意しましょう。たとえば、タイムカードで勤怠管理をしている職場の場合、そのままだとテレワークの従業員の始業や終業の時刻を把握できません。ですから、オンラインで打刻できるようなシステムを設ける必要があります。また、職場にいないと労働時間と休憩時間の区別があいまいになりやすいので、明確に線引きするためのルールを就業規則に加えることも大切です。従業員は文房具や備品を自分で購入する機会が増えるため、経費として負担する範囲や精算の仕方などの見直しも必要です。

いきなりテレワークを導入すると従業員は戸惑ってしまいます。そのため、実施の目的や方法を理解させる教育も行わなければなりません。研修などの計画や資料を早い段階で準備して、管理職には事前に周知するなどスムーズに進めるための工夫をしましょう。

テレワークを導入して企業を成長させよう!

いくらテレワークのメリットが多くても、やみくもに導入するのは良くありません。リスクを最小に抑えて最大の成果を得られるように、何が必要か理解して万全に準備することがポイントになります。また、企業の通信環境の整備やセキュリティの強化は、情報化社会のビジネスにおいて欠かせないものです。テレワークの導入にあたり、それらが実施されることは自社を成長させる良いきっかけになるでしょう。