オフィスの電気消費量の割合は多い順に照明、パソコン、エアコンと並んでおり、照明の割合は約4割を占めています。
オフィス全体の電気消費量の半分近くを消費するオフィス照明を無駄だと感じ、少しでも抑えたいと考える経営者の方も多いでしょう。コスト削減をはかるため、どのようなことを検討すると良いのでしょうか。日本のオフィスの現状からオフィス照明を選ぶ際のポイントを紹介いたします。

オフィス照明の現状

日本では経済産業省でJIS照度基準が定められており、オフィスの照度は300~750lux程度が推奨されています。一般的なオフィスでは1坪あたり2灯式蛍光器具を1台使用しており、室内の照度は平均1,000lux相当の明るさを保っています。これはJIS照度基準を大きく上回る明るさとなっており、オフィス全体に照明器具を取り付ける「全般照明方式」を採用することで、オフィスのどこにデスクを置いても明るい状態になります。
また、ひとつひとつの照明器具にスイッチが割り振られていないため、施工段階で必要以上の蛍光器具が配置されているという例もあります。ひとつのスイッチを入れると、必要のない場所を照らしているということも少なくありません。

明るさの比較

前述した明るさは実際に業務に必要なのでしょうか。一般的に住宅で使用されている照明は4坪で80Wの照明器具1灯を使用することが多く、不満を感じるということはありません。
しかし、現状使用されているオフィス照明を4坪あたりにすると、80Wの2灯式蛍光器具を4台使用することで320Wを消費していることになります。この例により、住宅の照明に比べていかにオフィス照明の消費電力が高いかが分かります。
また、スイッチを入れると数か所の照明器具が一度に点灯する仕組みとなっているため、多くの社員が業務に取り組んでいる時間帯は良いのですが、社員がひとりで残業する際にも必要のない多くの電力を消費し、無意識のうちに住宅1軒分以上の電力を使用しているということもあるのです。

なぜLED照明器具が普及しないのか

近年、注目されているLED照明器具は従来の蛍光器具にくらべて同等の明るさを保ちながら、消費電力は約10分の1という特徴をもっており、約40,000時間使用できる長い寿命も大きなメリットと言えます。消費電力の高い現状の蛍光器具にくらべるとメリットが多いこのLED照明器具は、なぜ普及しないのでしょうか。
その理由は2点あり、まずは初期導入費用が高い点です。毎月の消費電力を抑えられる反面、導入時のコストが高いLED照明器具。高額な導入費用がなかなか導入へと踏み切れず、蛍光器具を使用し続けている現状へとつながっています。2点目は、オフィスが賃貸の場合、大家さんに許可を得る必要がある点です。現在使用している照明器具を外す手間や費用も必要となるため、現状の蛍光器具を使用している方が多いのです。

まとめ

オフィスは明るい方が良いと考える方は多いのですが、そうすることで消費電力が高くなるため、明るい状態を維持しつつ、コストの削減をしたいと思う方が多いはずです。
明るさは従来の蛍光器具と同様で、節電効果の高いLED照明器具。デメリットは導入時のコストが高い点ですが、年々価格が下がってきているため、消費電力を削減するうえで確実な施策と言えます。
また、LED照明器具にはLEDスポットライトという局所照明器具も存在するため、これをデスクの上に配置することにより、残業の際にも無駄な電力は使用しないようにするということも可能です。導入費用とランニングコスト、耐久性などを考慮し、一度検討されてみてはいかがでしょうか。